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| 個性を忘れないロンドンっ子たちに感性を刺激されながら |
| ロンドンで新しい自分を見つける旅に出る |
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Parks in London |
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私が初めてロンドンを訪れたのは、暑い真夏の季節。公園に行くと、体全身を太陽の光に向けて幸せそうに緑の上に寝転ぶロンドンっ子たちでいっぱいだった。ロンドンの人たちは太陽の光に当たるのが好き。カフェに行くと、外のテラス席は満席でも中は意外にすいている、こんなことがよくあった。日本では見慣れないこの光景に、はじめは戸惑うことが多かった。
でもやがてあたたかい季節はすぐに終わり、寒い寒い冬の季節の訪れが近づいた時、あたたかな太陽の光がどれほど愛しいものなのかを知った。ロンドンの人たちは、やがて訪れる暖かい季節を待ち望みながら、長くて辛い冬の季節をすごす。だから太陽が顔を出すと、その温かさを体全体で感じようとする。太陽の光をこんなにも愛しいと思うことは、私は今までに一度もなかった。
ロンドンには、地元っ子が胸を張る緑豊かな公園がたくさん点在している。そこに行くと待っているのは、自然がそのままの姿で手を広げる壮大な景色。そして太陽に向かってまっすぐに伸びていく草花と、水面を泳ぐ水鳥たち。自然を大切にするロンドンの人たちの想いが伝わってくるようだった。
ロンドンの公園では、人懐こいリスたちに出合うことができる。近くのスーパーで買っておいた胡桃をポケットに入れて、リスたちが来るのを待つ。遠くの方でリスの姿が見えると、ポケットから胡桃を出して口を鳴らす。リスが胡桃を食べてくれたら、私はその間に写真をパシャリ。手をこすりあわせるようにして次の胡桃をねだるリスは、まるでおもちゃをおねだりする子供のよう。
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St-James's Park(セントジェームズパーク)や Green Park(グリーンパーク)、Hyde Park(ハイドパーク)へは、ロンドンの中心部から歩いて行けるので便利。公園は、自分がロンドンの中心部にいることを忘れさせてくれる場所。何か考え事をしたい時は、公園に訪れてゆっくりと流れる時の中を過ごすことが多い。
ゆっくりと過ぎていく時間の中で、鳥たちが羽を広げ、虫たちが花に集まり、一匹のリスがベンチの上で隣のおじさんとにらめっこをする。そんな光景をただ見ているだけの時間が、私にとってはとても貴重で、何にも換えることができない瞬間だということを知っているから。また新たな出合いがあることをひそかに期待しながら、ただ当てもなく歩いて行く。
目の前では、リスの夫婦が急ぎ足で人々の足元を横切って行った。二匹につられてたどり着いたのは、この夫婦だけが知っている特別な場所だった。二匹の邪魔にならないように、音を立てずにしばらくそっと二匹の様子を見守ることにした。公園の散歩の途中では、近くにあるティールームで伝統的な紅茶とスコーンを食べる。となりのテーブルでは、スコーンを食べながら話を弾ませるロンドンっ子たち。二人の会話に耳を傾けながら、つられて私も笑顔になる。
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Covent Garden |
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「おはよう、ご機嫌いかが?」ロンドンではこの言葉で一日が始まる。朝は濃いめの紅茶とイングリッシュブレークファスト。ラジオのくだらない笑い話を聞きながら、紅茶を片手に新聞を広げ、ロンドンっ子を気取りながら優雅に過ごすロンドンの朝。朝から楽しそうに会話をする地元の人たちの大きな笑い声が窓の外から聞こえてきた。コヴェントガーデンに住む友人の家が、私のロンドンでの旅の拠点。友人の家は、Neal Street(ニールストリート)を北に上がって横道に入ったところにある。
ニールストリートは、個性を忘れないお洒落なロンドンっ子たちの道。週末になると、まっすぐに歩くのが困難なぐらい、買い物を楽しむロンドンっ子たちであふれている。でも少し横道に入ると、そこには閑静な住宅街が広がっていた。私の行きつけのおいしいサンドイッチ屋さんもすぐそこだ。
地下鉄コヴェントガーデン駅を降りると、ピアッツァ界隈のいたるところで大道芸人さんたちが出迎えてくれる。この人たちは普段はどこに住んでいて、どんな暮らしをしているのだろう、そんな疑問が浮かびつつも、つい立ち止まって彼らを見てしまう。まわりの人たちも、いつの間にか笑顔になっていた。彼らの仕事は、本当の意味で「人々を笑顔にする仕事」なんだと思う。
コヴェントガーデンでは、時間がどれだけあっても足りないと感じてしまう。それは昔ながらの伝統を守り続ける空気の中で、荘厳な歴史の重みに感嘆しながらも、常に新しいものを育んできた町のカルチャーに感性を刺激されるような、そんなロンドンの魅力がこの町の中に凝縮されているから。来るたびに懐かしさと初めて来たような感動を味わうことができる。
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Wimbledon |
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ウィンブルドンには、地元の人々に愛される大きな公園がある。公園の奥にある池では、親子が仲良く日向ぼっこ。しばらくすると太陽の光が水面に美しく映し出され、太陽の光を反射した水面はまぶしいぐらいにキラキラと金色に輝いていた。静寂の中で、風に揺られる木々の音だけが聞こえてくる。いつの間にかさっきまでいた親子の姿が見えなくなっていた。私はどのくらいの間金色に輝く水面に見とれていたのだろうか。
公園の散歩の途中、70歳ぐらいの老夫婦が手をつないでゆっくりと歩いて行くのを見かけた。ロンドンでは、手をつないで町を歩く老夫婦を見かけることが多い。日本ではあまり見慣れないからか、心の奥が少しずつ温かくなっていくのがわかった。でもロンドンの人たちにとっては、ごく普通で自然なこと。私もいつか60歳、そして70歳を過ぎても手をつないで歩けるような仲の良い夫婦でいたい。
ウィンブルドンは、コヴェントガーデンに住む友人が昔住んでいた町。「ここが昔住んでいた家だよ。」友人が指さしたのは、伝統的なイングリッシュスタイルのレンガ造りの家。友人の思い出話を聞きながら、友人が昔通っていたというパブに連れて行ってもらった。パブではもうすでに仕事を終えたロンドンっ子たちで賑わっていた。仕事を終えるとまっすぐに地元のパブに行く、これがずっと変わらないロンドンっ子の伝統的な遊び方。
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| Notting Hill |
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ノッティングヒルは、映画「ノッティングヒルの恋人」の舞台となった町。毎週土曜日にはアンティークマーケットが開かれ、世界中から訪れる人々でにぎわいを見せる。「ノッティングヒルの恋人」の中でハリウッド女優アナと旅行書専門店店長ウィリアムが出会ったのも、マーケットの開かれるポートベロー・ロードだった。ウィリアムがアナの服にジュースをかけてしまったことが、二人のラブストーリーの幕開けだ。
映画の中でモデルとなったTravel Bookshopの中に入り、ウィリアム店長になったような気分に浸る。パステルカラーの家々が建ち並ぶストリートを歩きながら、ウィリアムの住む小さなアパートを思い出した。一軒一軒壁やドアの色が違う建物は、それぞれの持ち主の個性を表しているようで、この家にはどんな人が住んでいるのだろう、と想像を膨らませながら歩いて行く。
真っ赤なドアの家の前では、おじいさんがベンチに座りあたたかな太陽の光を浴びて一休み。写真を撮る私に気を遣って、その場を少し移動してくれた。ドアの方を指さしながら、「家を撮ってるの?」と不思議そうに私に質問をする。このおじいさんにとっては、口紅をそのまま塗ったような真っ赤なドアも、そしてパステルカラーの周りの家々も、いつもと変わらない日常の光景だということに、少しだけ嫉妬した。
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| Kew Gardens |
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イギリスの誇る世界最大規模の植物園であるキュー・ガーデンは、2003年に世界遺産に指定されることとなった。地下鉄の Kew Garden 駅から歩いて5分ほどでキュー・ガーデンに着く。しばらく電車に揺られていると、ロンドンから小旅行するような気分になる。
キュー・ガーデンまで続く道では、地元の家々が競い合うように庭のガーデニングに力を入れる。まるでこの道からすでにキュー・ガーデンが始まっているかのよう。家々のガラス窓の向こうでかすかに見えるのは、中心部のテンポとは無縁の、この町に住む人々のマイペースな生活。このあたりに幸せのオーラが漂っているのは、きっと家々の素敵な庭のせいだろう。
今朝目にした移り気なロンドンの曇り空からは想像もできないぐらいの晴れ渡った空の下では、偶然同じ方向を向く水鳥たち。青空が足もとまで迫ってくるような感覚を覚えると、優しい光の中で、乙女心をくすぐる色鮮やかな花々が視界に飛び込んできた。ここはまだロンドンだということを、一瞬忘れてしまいそうだった。花にとまるミツバチは、他に目移りすることなくただ一つの花にだけ夢中になっている。きっとまたこの場所に戻って来る予感とともに、人々を虜にさせるイングリッシュガーデンの原点に触れた気がした。
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